不動産売却の豆知識
不動産売却を代理人に委任しようとする方へ向けた指南書
委任状
不動産売買では、売買契約時とお引渡し時の2回は、売主様と買主様が顔を合わせて取引を行うのが通常です。
しかしながら、遠方に住んでおり急な用事や仕事、出張などで、どうしても契約に同席できない!
なんて方もいらっしゃるかもしれません。
そんな時には代理人に委任をすることも可能です。
ご家族など信頼できる人に委任状を利用して代理人になっていただく。
不動産売却ではこんなことも可能です。
とはいえ、代理人の選定や委任状の内容など注意点や要チェックポイントが存在します。
代理人をたてて不動産売却を行う。そんなときに読むお話です。
代理人は最終手段
まず大前提ですが、売主様に代わって代理人が契約やお引渡しに立ち会うのは最終手段です。
契約日の変更や契約場所の変更等で回避できるのであれば、回避してください。
しかしながら、なかにはどうしても難しい場合もあります。
そんな場合にやむなく対応する方法として存在するのが、代理人だと思ってください。
私が過去に売主様が代理人をたてて行った契約には
◆高齢で寝たきりのことが多くサービス付き高齢者向け住宅に入所している
◆新型コロナウイルスの緊急事態宣言中、大阪府に住む売主様が静岡市内に住む親族を代理人にした
◆海外転勤に伴う自宅の売却で日本にいない
◆遠方地に住んでおり、高齢のため足を運ぶのが困難
◆契約調整日に2週間の海外出張が入っており、同居の奥様が代理人となった
この5パターンです。
つい先日、コロナの影響で代理人を利用した契約を行いました。
このように代理人を利用するに足る事情があるときに、代理人にお願いしています。
売主様と売主代理人様は同等
売主代理人様の行為や署名は、売主様自身が行う行為や署名と同等の法的意味を持ちます。
代理人に伝えた内容や説明は、そのまま売主様に伝えたことになります。
たとえ、代理人が売主様に伝言し忘れたとしてもです。
不動産は高額な商品という事もあり、代理人を利用するリスクがまさにこれです。
代理人が意図的に委任者(売主様)をハメることも出来ちゃうわけですね~
そんなわけで代理人は必ず信頼できる方にお願いしましょう!
もっとも多いのがご親族様です。次いで、弁護士や司法書士などの先生でしょうか。
基本的には頻繁に顔を合わせたり、話をしたりする家族がベストです。
委任行為の権限は委任状による
代理人をたてる場合には、委任状が必要です。
委任状の内容は要チェックです!
委任状には委任する権限が記載されますが、決められた書面等のひな型は存在せず、細かい内容は作成者により異なります。
そのため、その委任状で代理人に与える権限を確認してください。
「どこまでの委任なのか。」ということです。
売買契約すべてにおける行為なのか、契約行為だけなのか、お引渡し行為だけなのか、現金の受取も含むのか等々です。
契約行為だけを委任したつもりでいたら、契約すべてを委任しており解体業者の選定や残代金の受取なども勝手にされてしまった。などのことがないように!
委任状のチェックポイント
委任状で代理人に与える権限以外にも、チェックポイントがあります。
委任状への署名押印は最後に行う
しっかりと委任者の記載、委任の権限の記載を確認してから署名押印してください。
権限内容が未記載の状態や委任者が未記載の状態での委任状には絶対に署名押印してはいけません。いわゆる白紙委任という行為ですが、トラブルの種になります。
対象物件の確認
不動産売却を委任する場合は、対象不動産の記載があること。その記載が登記事項証明書等と相違していないか。を確認してください。
どの不動産の売却を委任したのか記載しないと、他の不動産を売られてしまっても文句が言えないかもしれません・・・・考えるだけで恐いですよね。
しっかりと不動産の表示およびその表示内容を確認しましょう!
捨て印は押さない、追記させない
たとえ依頼されいても捨て印を押してはいけません。
捨て印が押してあれば内容を変更することが出来てしまいます。
また末尾は「以上」の記載をして、追記されないようにしておくことも必要です。
代理人が行う契約は慎重に
当店では委任状だけでなく、委任者(売主様)と代理人の
・本人確認書類
・住民票
・印鑑証明書
をご提出していただきます。
また、遠方地でなければ売主様に再度直接お会いして契約内容の確認を行います。
「親族間での委任なのでそこまでしなくても・・・」と言われたこともありますが、売主様の意向とは別に契約が進んでしまうことほど恐いことはありませんので、代理人での契約時は慎重にすすめさせてください。
さいごに
不動産売却における代理人についてお話いたしました。
重ねてのご案内ですが、基本的に売主様が契約・お引渡しには出席してください!
ただし、どうしても出席できない事情がある場合は委任状により代理人をたてることが可能です。
その際には、ぜひ委任者の選定や委任の権限内容確認には細心の注意を払ってください。
数年前に積水ハウスが地面師により60億円以上だまし取られた事件も、売主様の代理人が登場しています。
どうしても不動産会社は代理人となると、すこ~し慎重になるんですね。
契約の安全性を保つためです。何卒ご理解くださいませ。