【賃貸仲介手数料訴訟】賃貸での仲介手数料の上限が裁判で示されました。

賃貸借契約書

先日、東京高等裁判所で賃貸に大きく関わるとある判決が出されました。

賃貸物件を仲介した不動産会社が、借主(居住者)から承諾なく家賃の1カ月分を仲介手数料を受け取るのは違法だとした裁判です。

裁判の判決は「違法」。不動産仲介会社は、借主の承諾なく家賃の0.5ヵ月分を超える仲介手数料を受け取ってはいけないとし、返還を命じました。

借主が契約時に仲介手数料1カ月分と知っていても違法!?

賃貸の仲介手数料は宅地建物取引業法第46条1項から3項で以下のように決められています。

「宅建業者が宅地または建物の貸借の媒介に関して、依頼者の双方から受けることのできる報酬額の合計額は、当該宅地または建物の借賃の1ヵ月分に相当する金額以内とする。この場合において、居住用の建物の賃貸借の媒介の場合は、依頼者が契約時に承諾した場合を除き、1ヵ月分の賃料の2分の1の金額の範囲内とする。」

⇒ ・仲介手数料は貸主・借主からもらえるが、合計は賃料の1カ月分以内

  ・依頼者(貸主or借主)が契約時に承諾しない限り、仲介手数料は1ヵ月分の賃料の2分の1の金額の範囲内

これらを踏まえると、当たり前の判決のような気がしますよね。

でも、東急リバブルほどの大手ですので、重要事項説明や契約書の記名押印をいただく際には間違いなく初期費用の計算書等の提示はしていたはずですし、契約書や重要事項説明書等に記載もしてあったのではないかと思います。

つまり、借主は賃料の1カ月分相当の仲介手数料を支払うことを理解した上で、契約書等に記名押印したことになります。

では、なぜ違法となったのでしょうか。

重要なのは【契約時の承諾】という部分です。

口頭で契約が明確になった時が契約成立のタイミング

今回の裁判で注目すべきなのは、契約成立が《 契約日を決めた時点 》と判断されたことです。

え?って感じですよね。契約書も交わしていないのに?ましてや契約日なんて変更になる場合もあるのに?そこが契約成立なの?って思われるかと思います。

これは不動産賃貸だけに関わらず、不動産売買でも言えますし、不動産以外でも言えることなのですが、契約というのは口頭だけで成り立ちます。

貸します/借ります。売ります/買います。これで契約は成立します。

実際には詳細を定める必要がありますし、言った言わないを防がないといけませんので、書面で契約するのが当たり前です。また、不動産の重要事項説明は書面が義務付けられていますので、不動産会社は必ず書面で説明しますが。

今回の裁判でいうと、不動産会社が仲介手数料が1カ月分という説明をしたのは契約時点なので、当然《契約日を決めた時点》よりも時系列は後になります。したがって、契約成立のタイミングで仲介手数料が1カ月分という承諾は得ていなかった、という判断になったのです。

借主:「内覧して気に入った。この物件を借ります!」

不動産会社:「では、契約日はこの日にしましょう!」  ← 貸す意思がある。

⇒ 契約成立!! ※このタイミングの時に、仲介手数料1カ月分を承諾を得ていない。

⇒ 違法!!

という事です。

明確になった基準

改めて、賃貸の仲介手数料について「借主と貸主から家賃0.5カ月分ずつ、合わせて1カ月分を原則とする」と国からお達しがでました。さらに加えて、仲介手数料を0.5カ月分以上請求するのであれば、承諾をとるタイミングまで指定が入りました。

今後、仲介手数料は1カ月分必要ですよ~という書面が新たに加わることは容易に想像ができます。案内前に仲介手数料の説明が入るかもしれません。物件の資料にでかでかと仲介手数料の額が記載されるかもしれません。

場合によっては、借主が支払う仲介手数料は0.5ヵ月で統一されるかもしれません。そうなるとミニミニやエイブルなんかが謳っている「全物件、仲介手数料半額」なんかも弱くなってしまいますね~

ただ、不動産会社にとって仲介手数料は生命線ですので、これ以上の値下げなどは考えづらいので、広告料などの名目で大家(貸主)さんへの負担が増えそうな気もしてきます。

いずれにしても、これから住まいを借りる予定の方は、契約日を決定する時点までに承諾をしなければ、仲介手数料は0.5ヵ月分が上限です。

知っておくと良いかもしれません!

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