住宅ローンの豆知識
親子リレー返済を利用したときの団信は誰に適用されるかを解説|フラット35の豆知識
親子リレー返済の団信は誰に適用される?
借入時から完済時まで、ずっと同じ金利が適用される安心感からフラット35等の全期間固定型金利を選択して住宅ローンを組まれる方はたくさんいらっしゃいます。
※全期間固定型金利の参考記事 【住宅ローンの全期間固定型とは?|金利推移と借入先を選ぶポイントを解説】
本記事では全期間固定型金利のなかでもフラット35における「親子リレー返済」という借入方法にフォーカスしたお話です。
そのなかでも特に団体信用生命保険(略して、団信)について、親子リレー返済を利用した時のメリットと注意点を解説します。
◆親子で同居予定の住まいをお探しの方
◆団体信用生命保険を活用できる方法をお探しの方
◆フラット35で住宅ローンをご検討の方
は、参考になるはずです!
目次
親子リレー返済とは?
親子リレー返済とは、親子の連帯債務で住宅ローンを借りる方法です。
年齢的に希望する返済期間を選択できない親御様 ⇒ お子様の年齢でカバー
収入的に希望する金額を借入れできないお子様 ⇒ 親御様の収入合算でカバー
親子リレー返済はこの相互カバーです。
たとえば、55歳/年収500万円のお父様・25歳/年収300万円のお子様が同居するお家を予算3000万円(すべて住宅ローン)で探していたとします。
住宅ローンの完済年齢が75歳(銀行による)までですので、お父様が住宅ローンを借りると最長でも20年の期間でしか組むことが出来ません。
返済期間を短くすると、その分だけ月々の返済額は上がりますので、資金計画自体が成り立たなくなってしまいます。
一方で、お子様が住宅ローンを組むには年収が足りず、予算を3000万円よりも少なくしなければいけません。
結果的に、この親子が3000万円の住宅ローンを組むことできません。
そこで登場するのが親子リレー返済です。
親子リレー返済を使えば、年齢はお子様が基準となり35年返済OK、収入は合算され800万円とみなされるので、3000万円の借り入れも問題なくOKです。
これが親子リレー返済という方法です。
親子リレー返済はどちらかが団信に加入
一般的に住宅ローンを借入れする際には、団体信用生命保険への加入が義務付けられています。
これは親子リレー返済の場合も同様です(フラット35は任意加入)。
親御様かお子様のどちらかが、団体信用生命保険へ加入をすることになります。
一般の銀行の場合は、親御様・お子様のどちらかが加入するかを選択します。
普通に考えれば親御様ですが、団体信用生命保険には上限年齢が設定されています。
たとえば、上限年齢が満79歳までに設定されている場合は、親御様が80歳になった日からは団体信用生命保険の適用が受けられなくなります。
つまり、35年返済のうち 返済開始時~25年目まではお父様が死亡時に住宅ローンがチャラ、26年目以降は誰が死亡してもチャラにはならないわけです。
前章で例に挙げたケースの場合では、①お父様が25年間団信の適用を受ける。 ②お子様が35年間団信の適用を受ける。 このどちらかから選択することになります。
ただし、フラット35の場合は団体信用生命保険もリレーすることが可能です。
フラット35の親子リレー返済を利用する場合は、この団体信用生命保険も大きな魅力のひとつとなります。
フラット35なら団信も親子でリレー可能
一般の銀行では親子どちらかの団信加入のみですが、フラット35の場合は団信もリレーをすることができます。
お父様が80歳を迎えたタイミングで、団信の対象を お父様 ⇒ お子様 へとリレーします。
つまり、借入~25年目(お父様80歳)まではお父様が死亡時に住宅ローンがチャラ、26年目~完済まではお子様が死亡時に住宅ローンがチャラになるわけです。
当然ながら年齢に応じて死亡率も上がりますので、団体信用生命保険の適用だけを考えた場合は、かなり有意義な住宅ローン返済の選択となります。
三世代家族
フラット35の団信をリレーする際の留意点
フラット35でしか利用できませんが、死亡率の高い親御様を団信の対象者としておきながら、将来的に団信の対象者を引き継げることは魅力的ですよね。
ただ一方で、想定しておかなければいけない事もあります。
お子様が死亡した場合
あまり考えたくはありませんが、親御様に団信が掛かっている最中に、お子様が死亡してしまった場合です。
もちろん、団信の適用は受けられませんので住宅ローン返済は続きます。
お父様の収入だけで返済できる金額なら問題ありませんが、お子様の収入にも頼っていた場合は、返済が困難になります。
ご自宅の売却を行う選択肢もありますが、想いの詰まった家を売るのは気持ちの整理に時間がかかることもあります。
必ず想定をしておくようにしましょう。
引継ぎ時にお子様が団信に加入できない場合
生命保険ですので、加入時には健康であることが条件となります。
住宅ローン借入時には親子ともに健康に問題がないかもしれません。
しかしながら、将来 お父様 ⇒ お子様 へ団体信用生命保険を引継ぐときに、お子様が健康かどうかは誰にも分かりません。
もしも、そのタイミングでお子様の健康状態に不安があったり、病気を患っていた場合には団体信用生命保険を引き継ぐことが出来ません。
返済の柱がお子様の収入である場合には、団体信用生命保険が引き継げないのは最悪のパターンとなります。
この場合には、はじめから団体信用生命保険をお子様につけておく方が安心度は大きいでしょう。
まとめ:フラット35であれば団信も親子でリレーできる
フラット35であれば、親子リレー返済を選択した場合の団体信用生命保険も、親子でリレーして適用を受けることが出来ます。
死亡率の高い親御様を対象にしておくことができるので、団体信用生命保険だけで考えれば魅力的な方法です!
親子同居で住まい購入を検討している方は、あえて親子リレーを検討するのもアリだと思います。ただし、万が一のケースはしっかりと考えておいてください。
一口に住宅ローンと言っても、様々な借入れ方法や条件、金融機関、金利があって面白いですよね。
全期間固定型金利のフラット35にフォーカスしたお話でしたが、変動金利や固定期間選択型の住宅ローンもございます。
ぜひ自分たちに合った住宅ローンの選択を行ってください。
参考記事【住宅ローンは変動金利と固定金利どっちがおすすめ?|コロナ渦での選択を解説!】