不動産売却の豆知識
102歳の売主様が売却契約後に亡くなってしまった話
購入の申込 ⇒ 売買契約 ⇒ 融資本承認 ⇒ 不動産引渡
おおまかですが、不動産売買は上記のような流れで進んでいきます。
ほとんどの買主様が住宅ローン等を利用するので、売買契約~不動産の引渡しまでは最短でも3週間~1カ月ほどかかります。
この約1カ月の間は、契約書にのっとってお引渡しを行うための準備にあてる期間だという認識でOKです。
過去に、この【約1カ月の間に売主様が亡くなってしまった】というケースに遭遇したことがあります。
そうなった場合は、どんな対応になり、契約自体はどう進んでいくのでしょう。
その時の経験をもとにお伝えいたします。
契約はどうなるの?
最終的にどうなるのか。というのを、先にお伝えしてしまいますね!
契約後に売主様が亡くなったとしても、契約は有効です。相続人に契約書にのっとって契約を遂行する義務が生じます。
相続人は契約書の内容を当然に承継しますので、手付での契約解除などは可能ですが、相続放棄によって契約を白紙にすることはできません。
そのため、買主様は売ってもらえなくなる!という心配をすることはありません。
しかしながら、お引渡しの時期が予定よりも先延ばしになることは了承せざるを得ないかもしれません。
102歳の売主様が死亡してしまった
僕が経験したケースでは、売主様は102歳のおじいちゃんでしたので、息子様が代理人のような形でサポートに入ってくださっていました。
お父さんがお亡くなりになったのは、契約を終え、建物を解体して、さてお引渡しだ!というタイミングの約1週間前でした。
買主様も了承のうえでお引渡し日を1カ月ほど延期してもらって、無事に取引は完了しました。
後ほど説明しますが、手間取る要因はいくつもありました。
しかしながら、買主様のご理解が得られたこと、売主様がご高齢のため息子さんがサポートについていたことなどが幸いして、スムーズに完了させることが出来ました。
相続を完了させる
売主様の相続人は契約を遂行しなければいけません。
解体や測量、修繕など具体的な行動は契約により異なりますので、そこは不動産会社にお任せしましょう。
やるべき事は、当該物件の相続を早急に完了させることです。
相続人が一人であれば良いですが、複数人の場合は誰が当該不動産の所有者になって、売主として契約を遂行していくのかを決めなければいけません。
どなたかが代表で相続して契約を遂行し、現金化したのちに分配する。というのが一般的な方法かと思います。
相続で手間取ると最悪の場合は損害賠償に
ひと言で「契約は相続人に承継される。」と言っても、相続人様が売却について承知していない。相続人様が複数いる。など、スムーズにいかない要因はたくさん考えられます。
上述のケースで、不測の事態でもスムーズに契約を完了できたのは、
◆相続人様が売却について承知していた
◆2人いる相続人様があらかじめ万が一の相続について話し合っていた
ということが大きかったと思います。
不動産の取引では、契約上の売主様と登記簿上の売主様が同一でないと、お引渡しはできません。
そのため、相続が発生したら不動産の所有者を相続人に変更する「相続登記」を行わなければなりません。
もしも、相続人同士で揉めてしまっている場合は、この「相続登記」が進まず、売却にも影響を与えかねません。
いつまでたっても相続登記などのお引渡しの準備が整わない場合には、買主様に違約金(損害賠償)を請求される可能性もあります。
買主様にも、その住宅を購入して住む、その土地を購入して建築をする、という購入後の計画があるわけですから、いつまでも待っていられないのは仕方がありません。
さいごに
不動産売買では、住宅ローン等のお引渡し準備の関係で、契約~お引渡しまで時間が空くことが頻繁にあります。
この期間に売主様に万が一のことが起こっても、契約は相続人によって遂行されていきます。
相続の関係ですんなりいかない場合もありそうですが、最悪の場合には買主様から損害賠償請求されることにも繋がってしまいます。
どんなときでも万が一を想定しておけ!!なんてことを言う気はさらさらありません。
しかしながら、僕が経験したケースのようにご高齢であったり、ご病気を患っていたりする場合には、万が一の懸念もしておくと、対応が出来ると思います。
もし今まさに、万が一の状況に建たされている場合には、相続を完了させることを優先して、契約をしっかりと遂行しましょう!