不動産売却の豆知識
不動産会社が行う土地査定の計算方法を解説|評点を用いた土地価格の算出
不動産会社が行う土地査定の計算方法を解説
土地の査定ってどうやって行うんでしょう?
「土地には相場がある!」なんて聞きますが、この世に同じ土地はひとつとして存在しません。不動産は全てが一点ものです。
もちろんひとつひとつの土地に明確な相場が定められている訳ではありませんので、それぞれの土地について最適な価格は計算等によって算出しなけばいけません。
不動産会社が土地査定で土地価格を算出する時は、それぞれの土地を点数化することで価格を算出していきます。
何を基準に、どうやって計算をしていくのでしょうか。
静岡市の不動産売買店ライフアーキが土地査定の際に行っている査定価格の算出方法をご紹介いたします。
安い価格で手放してしまうことのないように、高い価格で売り出して長期間売れずに困ってしまうことのないように、しっかりと根拠がある価格の算出方法をしっておきましょう。
目次
土地査定は査定地と成約事例の評点を用いて行う
土地の査定は、取引事例比較法と呼ばれる査定方法を用いるのが一般的です。
取引事例比較法では近隣土地の成約事例や売出事例を参考に価格を算出していきます。
しかしながら比較するといっても、南向きの土地もあれば西向きの土地もあるし、駅からの距離も5分と10分では人気が違いますよね。
土地の条件は物件ごとに異なりますよね。
そこでライフアーキでは、対象地ごとに評点をつけていく方法を採用しています。
静岡県宅建協会の画地条件評点表をもとに、それぞれの条件ごとに点数を与えていく方法です。
この画地条件評点表は定められた標準地点との比較に用いることを前提としている表なので、査定地と近隣成約事例を直接比較することはできません。
しかしながら、標準地点と査定地 / 標準地点と近隣成約事例 を比較することで、査定地と近隣成約事例を相対的に評価をすることができます。
あとは評点付けを基に、近隣成約事例の坪単価から査定地の坪単価を算出します。
次の章から、査定方法を具体的に説明していきます。
1. 最適な成約事例の抽出
土地査定においては、この成約事例の抽出が最も重要です。
評点付けである程度の比較による整合性を確保しますが、出来る限り査定地に近く条件も近い物件を比較対象の成約事例に選択することを意識しています。
とはいえ、成約事例には個々の背景を含む価格である場合があります。
・相続税の支払い時期が迫っており、早急に売却が必要で価格を下げた
・町名限定で探している方がおり、強気の価格でも売れた
・同時期に同エリア内に物件が多く価格を下げざる得なかった
などです。
1件だけの成約事例だけでなく、複数の成約事例を抽出しそのなかでも比較を行って、成約事例の抽出を行うのが良いでしょう。
なお、見落としがちなのが学区です。
学区限定で不動産をお探しのお客様は多くいらっしゃいますが、評点で学区は一切考慮されません。
査定地から近くても学区が異なる場合は注意しています。場合によっては、他の成約事例を用いた方が正確な査定に近づくこともあります。
2. 査定地および成約事例の評点をつける
土地査定において価格に影響を与える一般的な条件は、上図の画地条件評点表で点数付けをしていきます。
査定地と成約事例地に評点をつけることで比較ができるようになります。
静岡県宅建協会の画地条件評点による査定は、静岡県が指定する標準地を100点として、対象地に上図の画地条件評点を利用します。
静岡市内には1081地点の標準地が設定(静岡市葵区231地点、静岡市駿河区144地点、静岡市清水区306地点)されていますので、市街地であればほとんどのエリアで近くに標準地があるはずです。
評点は道路の方向や道路幅員、土地面積、間口などの条件によって、点数を足し引きしていきます。
点数は標準地を基準に定められているため、標準地は必ず北側道路ですし、道路幅員も基本的に5m以上が確保されている地点を選んであります。
この画地条件評点表によって、査定地の点数と成約事例地の点数を算出します。
3. 査定地の参考価格算出
査定地と成約事例地の評点が揃えば、後は計算するだけです。
たとえば、査定地の評点が118点/成約事例地の評点が108点で成約事例地は坪単価50万円で売買されていたとします。
すると、
118点 ÷ 108点 × 50万円 = 54.6万円
査定地の坪単価は54.6万円であると評価することが出来ます。
これがライフアーキで行っている、評点を用いた取引事例比較法での土地査定の計算です。
他の計算方法で査定価格を算出する会社さんもあります。
4. 画地条件評点表に記載がない条件抽出
土地査定にかかわる条件がすべて画地条件評点表でカバーできるわけではありません。
たとえば先述した学区。
学区ごとに人気や規模が異なるため、価格にも多少ながら影響を与える条件です。
他にも、売出し中他物件の状況や数・交通アクセス・道路の拡張予定・前面道路の通行量・ハザードマップ指定など、価格に影響を与えうる条件はいくつもあります。
こういった条件も考慮しなくてはいけません。
近くに新しく駅が出来る場合なんて大幅に価格は上がりますし、商業施設の影響で週末は道が大混雑する場合などは評価が下がります。
こういった画地条件評点表だけでない、周辺環境などの条件をしっかりと抽出しておかなければいけません。
5. 売出価格のご提案
土地査定の結果を売主様にご提案いたします。
成約事例を基に査定価格をご提案いたしますが、価格設定は売主様が行います。
査定価格にご納得いただき査定価格での売り出しになることもあれば、少しでも高く売却をできるように査定価格よりも高めのチャレンジ価格で売り出すこともあれば、早期に売却を完了させるために査定価格より低めに売り出すこともあります。
売主様とご相談のうえですが、私は売り急いでいなければチャレンジ価格での売出スタートで良いと思っています。
隣地や学区限定、町名限定などピンポイントで査定物件を気にってくれる方がいる可能性もあるからです。
ただし1カ月など期間を限定し、一定期間経過後は査定価格付近への価格変更をお願いしております。
あまり長期間チャレンジ価格を据え置くと「高い物件だ」「売れ残り物件」という印象を不動産会社に与えてしまいます。
お客様に物件を紹介をする不動産会社に良い印象を持ってらえないと、紹介にすら辿り着かない可能性もあります。
まとめ:土地査定は成約事例を参考に評点により算出する
土地査定では、査定地の評点と成約事例地の評点を参考に査定価格を算出していきます。
しかしながら、すべての価格決定要因が評点により考慮されているわけではありませんので、それ以外の条件も踏まえて査定価格をご提案しています。
実は、不動産業では査定時にしっかりと根拠に基づいた査定価格を示さなければいけないと定められています。
しかしながら、不動産査定を受けてみると分かるのですが、会社さんによって少しづつ計算方法や価格算出の根拠は異なります。
僕も昔はもよく分かっていない定数が出てくる算式を使ったりしていました・・・・笑
本記事でご紹介させていただいた算出方法は、説明をすると成約事例地の抽出や評点の点数などについて、売主様からかなり的確な質問が飛んできます。
それだけ分かりやすく理解してもらえているんだと思い、当店ではこの方法で土地査定を行っています。
不動産の査定なんて、最終的に売主様が全て決めることができますので、納得できる価格と、信頼できる担当者さんにお任せすれば良いのです。
価格と担当者はセットではありません!
ちなみにこの計算方法、たまに他社の査定価格と違ったりするみたいなので、試してみる価値ありかもしれませんよ~
静岡市内ならいつでもお問い合わせください。