不動産購入の豆知識
土地付き建物では土地建物一体で総額いくらと考えましょう
自分の敷地の上に建つ建物
土地付き建物の案内時に良く聞かれることのひとつに、「土地と建物の内訳を教えてください。」という質問があります。ほとんどの方は、内訳より建物の価値がどれくらいあるのかが気になっているようです。
そして残念ですが、これは多くの場合は正確にお答えできません!ざっくりなら出来ます。笑
どの物件も「土地」と「建物」合わせて○万円という記載で、「土地」が○万円・「建物」が○万円という記載は見たことがありませんよね。
なぜなら基本的に、建売住宅も中古住宅も土地建物一体で○万円というのが、通常です。
では、建売住宅や中古住宅の金額って、どうやって決めていると思いますか?
建売住宅の場合は逆算後付け
新築住宅の場合は、土地建物の内訳は後付けです。
後付けというのは、販売時には内訳は決まってなくて、購入者が決まり、契約書を作成する段階で決めていくということです。
分かりやすく、不動産会社が土地を仕入れて、建売住宅を販売する場合を考えてみます。
このエリアで、この土地の広さで、こんな間取りの家が建てられる。⇒ ○万円で売れるだろう。⇒ △万円の建築費や□万円の利益を考慮すると、土地は◎万円で仕入れないとだな。
これが不動産会社が建売住宅を計画する大まかな流れになります。最終的に建売住宅がいくらで売れるか、という部分からの逆算です。
つまり、建売住宅に土地いくら・建物いくらという概念自体がありません。計画段階から、土地建物でいくら、というのが建売住宅の考え方です。
だから、聞かれても分かりません。笑 答えられるのはざっくりの予想と周辺土地の相場くらいです。
契約段階で後付けで土地建物の内訳を決めるのは、消費税の問題からです。
売主の不動産業者が消費税を納める関係上、税法上に問題のない範囲で土地建物の内訳を設定しているという感じです。これが後付けの理由です。
そして、売買価格の表記は税込みが一般的です。建物がいくらで設定されようが、買主様に全く損得はありませんので、ご安心ください。
中古住宅は値付けの計算法により様々
中古住宅は大きく2つに分かれます。
ひとつめは、不動産業者等が売主の場合。
この場合は、建売住宅と同様で最終的な価格から逆算の方式が多いです。いくらで売れるだろうから、いくらで仕入れないとだな、という感じです。つまり、土地建物の内訳は後付けパターンです。
もうひとつは、一般の方が売主の場合です。
この場合は、売主様と一緒に売出価格を相談しているので、すでに内訳が分かっている可能性があります。ただし、売出価格を決定する【査定】にも様々な方法があり、内訳が分かっていない場合もあります。
査定方法で最も多い方法が①取引事例比較法②原価法の2つを組み合わせた査定方法です。①取引事例比較法では土地価格を、②原価法では建物金額をそれぞれ算出します。
①取引事例比較法では、周辺の成約事例や売出中物件を参考に、土地価格がどれくらいなのかを決めていきます。②原価法では構造(木造、軽量鉄骨造、鉄骨造など)によって規定された耐用年数に応じて減価償却を行い、残存価値を計算していく方法です。
この①取引事例比較法②原価法の2つを組み合わせた査定方法であれば、内訳がはっきりと分かります。
ちなみに一般の方が売主の場合は、建物に対しても消費税はかかりませんので、契約書に内訳を記載しない場合もあります。別に何の問題もありません。ただ、書いてあった方が親切だと思うので、僕は書いています。
土地建物一体の価格でとらえましょう
とはいえ、売れなくて価格を下げたり、買主様から金額の交渉があった場合は、土地建物どっちの内訳金額が減るのか。など、内訳にこだわっても無駄ですし、減価償却なんて机上の計算でしかありません。
手入れが細かい住宅と手入れをしていない住宅では、価値や印象は変わってきます。
だから結局は土地建物の一体の価格で考えるのがベストだと思います。
この敷地上に、この建物が建っていて○万円という感じです。投資目的でもない限りは土地建物の内訳価格はあまり気にする必要はありません。