家の住み替えで仮住まいを回避する2つの方法|引渡猶予と先行入居の解説

引渡猶予と先行入居の解説

住宅ローンが残っている家からの住み替えでは、現住まいの住宅ローンを売却によって返済してからでないと新住まいの住宅ローンが組めないケースがあり、一度仮住まいへ出る必要があります。

※『家を住み替えるときは住宅ローン残債の有無で手法が変わる!|住み替えを成功させるポイント解説』を参照

仮住まいへ出るとなれば、2度のお引越し、賃貸住居探し、退去の立ち合い、敷金礼金の支払いなど様々な手間と費用が発生します。

引越しは結構疲れる重労働ですし、可能であれば仮住まいをしないで住み替えを実現したいですよね?

本記事では仮住まいを避ける2つの方法について説明します。

2つの方法とは「引渡し猶予」と「先行入居」です。

それぞれの方法の解説と、付随する制約事項をお話いたします。

住宅ローンの残っている家を売って新居に住み替えを検討している方は必見です!

引渡し猶予で仮住まいを回避する

引渡し猶予とは、売却により現住まいの所有者が買主様になってからも、数日間だけ明け渡しを猶予していただく方法です。


不動産の売買はお金を支払うと同時に所有権を移転して買主様の持ち物になります。

そのため、売主様はお金を受領するタイミング(決済やお引渡しと呼ぶ)までに建物から退去して荷物もすべて撤去して、明け渡さなければいけません。


引渡し猶予では、この建物の明け渡しだけを数日間待ってもらうのです。

この数日の間に新居への引越し、買主様に明け渡す準備などを整えます。



「所有者は買主様なのに、住んでいるのはあなた(前所有者)」というねじれの状態が数日間続くため、買主様の理解が必要です。

しかしながら、売主であるあなたが住まい売却時の条件として付することができるので、この後にご紹介する先行入居よりは利用しやすい方法です。

先行入居で仮住まいを回避する

先行入居とは、購入予定の物件へ代金を支払う数日前に入居させてもらう方法です。


新住まいの住宅ローンを組むには、現住まいの住宅ローンを返済しなければならないわけです。
現住まいを売却して住宅ローンを返済し、新住まいを購入する住宅ローンを組む。たとえ、同じ日に行ったとしても、引越しや引渡し前の確認など物理的な部分で不具合が生じます。

そこで、お金を支払う前に引越し等の物理的な問題だけ完了させてもらえれば、問題は解決するよね。というのが先行入居です。


お金の支払いを終える前に入居をさせてもらうので、「所有者は売主様なのに、住んでいるのはあなた(新所有者)」というねじれの状態が発生します。


特に、金銭の授受を完了していない。という点が引渡し猶予と大きく異なります。

そのため先行入居を承諾してくださる売主様はそうそういらっしゃいません。

新築建売などの不動産取引に手慣れた業者でも先行入居は基本NGになりますので、極めて利用が難しい方法であると言えます。

新居探しでの制約が発生してしまう

引渡し猶予や先行入居によって、住み替えの仮住まいは回避することができますが、いずれの方法でも新居探しでの制約が発生します。

具体的に言えば、新居探しの期間が定められているうえに、基本的に注文住宅は選択ができません。


これは住み替えのスケジュールに起因しています。住宅ローンが残っている家の住み替えで引渡し猶予・先行入居を利用する場合には、下記のようなスケジュールになります。

現住まいの売却契約  ⇒  新住まい探し  ⇒  新住まいの購入契約  ⇒  現住まいの売却決済・新住まいの購入決済(同日)


現住まいが売却できなければ住宅ローンが組めず新住まいを購入することができないため、現住まいを購入してくれる方が決まってから新住まいを探します。

現住まいを購入してくれる方を契約後に何カ月も待たせるわけにもいきませんので、現住まいの売却契約~現住まいの売却決済までを、2カ月や3カ月で組むのが基本です。

この2~3カ月で新住まいを購入しなければならないのです。

注文住宅では到底間に合いませんし、この2~3カ月には新住まいを購入するためのローン手続きに要する期間も含まれていますので、実質的には1カ月ほどで新住まいを見つけなければなりません。

これが引渡し猶予や先行入居を利用するにあたり生じる新居探しでの制約です。


もちろん当該期間に気に入る新居が見つからなければ、予定を変更して仮住まいに出る選択もできますので、気に入らない新居を購入せざるを得ない訳ではありません。ご心配なく!

まとめ:引渡し猶予と先行入居で仮住まいを回避する

住宅ローンが残っている現住まいを売却する住み替えでは、住宅ローン借入の都合上、どうしても仮住まいが必要となります。

しかしながら、引渡し猶予や先行入居という方法を利用すれば、仮住まいを回避して住み替えを完了することが出来ます。


ただし、所有者と利用者(居住者)が異なるねじれの期間が数日発生するため、売買相手の承諾が必要です。

引渡し猶予はあなた自身が売却条件として事前に付することができますが、先行入居は売主様に交渉をして承諾を得なければいけませんので難易度は高くなります。


仮住まいの費用と手間を回避できるメリットがある一方で、新居探しの面で期間などの制約が出てきてしまいます。



家の住み替えは住宅ローン残債だけでなく、スケジュール管理や予算管理、税金面での控除選択など、通常の売却・購入とは事前計画の重要度が桁違いです。

今日はそんな住み替えで使える、引渡し猶予と先行入居という方法について解説をしました。

住み替えは個別事情も多く複雑なため、いち早い不動産会社への相談がおすすめですよ~

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