不動産購入の豆知識
ネットで土地を探すときに知っておきたい【建ぺい率】と【容積率】
建ぺい率と容積率
一昔前は、不動産会社をまわって土地を探していました。
数年前は、ネットで土地情報を検索しても詳細な場所までは分からず、電話で不動産会社へ問合せをしていました。
今では、ネットで詳細な場所・たくさんの写真が掲載されていて、自分たちでも土地を探せるようになっています。
不動産会社の営業を受ける事もないし、無駄に個人情報を提示する必要もありませんので、どんどん時代に即した買主様にメリットがあるような方向に変わってきています。
一方で、買主様が気を付けなければいけないこともあります。
それは、土地にかかっている法令や制限です。
素敵な土地だな~と思っても、思っていた大きさの家が建たなかったり、想定外の費用がかかったりします。
実はこういった法令等は、インターネットの物件紹介にしっかりと記載されています。
記載事項がたくさんあって、それぞれの法令等の内容を分かっていない方もいらっしゃると思います。
そんななかでも今回は必ず物件情報に記載がある【建ぺい率】と【容積率】について知っていただきたいと思います。
建ぺい率とは
建ぺい率とは「敷地を真上から見た時に、建物が影を落としている面積の割合」です。
敷地いっぱいに建物を建ててしまうのは、通風や防災の観点から好ましくありません。
そこで、建ぺい率を設定することで敷地の利用をコントロールしようという訳です!
下図をご覧いただけると分かるかと思います。
建ぺい率
建ぺい率は、それぞれの地域に定められた都市計画に応じて割合が変化します。
住宅街であれば建物と建物の間は離れていた方が通風・防災の観点から良いのですが、商業地ではそうもいきません。
ある程度、建物同士が隣接していることも許容しないと商業地として発展しませんからね。
当店がある草薙も、草薙駅南口の商店街は建ぺい率80%のため、商店がたくさん並んでいます。
しかしながら、住宅街をあがっていった草薙神社の方は建ぺい率50%です。
住宅地で建物同士が隣接していることは、火災時のリスクにもなりますからね。
このように商業地なのか住宅地なのかで土地の活かし方が変わってくるため、土地利用に応じて適切な建ぺい率の割合を設定します。
緩和条件もございます!
建ぺい率は、通風や防災の観点から設定されています。
そのため、通風の確保や防火の安全性が確認出来れば緩和も受けることができます。
分かりやすのが、角地です。
各都道府県・各市町村が定めた角地であれば、建ぺい率は10%緩和されます。
(50%⇒60%、80%⇒90%)
角地は単純に隣接している建物が他より少ないので、通風の確保がしやすいですし、火災時の延焼もしにくいと考えられています。
また、一応説明しておくと「防火地域の耐火建築物」であれば、建ぺい率が10%緩和できます。
都市計画で防火地域という地域が設定されており、その防火地域内の耐火建築物であれば、緩和しますよ~
となってますが、これは覚えなくて良いです!
容積率とは
容積率とは「敷地面積に対する建物の延床面積の上限を示した割合」です。
下図でご理解いただけるかと思います。
延床面積を制限することで、建物を上へ積むのをコントロールする役割を担います。
1軒家ばかりの住宅街に、急に10階建てのアパートができても困りますよね。
陽当たりは悪くなるわ、一気に人や交通量が増えるわ。
公共の給排水などのインフラにも支障をきたしますし。
容積率
容積率も建ぺい率と同様に、それぞれの地域に定められた都市計画に応じて割合が変化します。
商業地には高層ビルや高層アパートなど建てられるように、住宅地では高層ビルや高層アパートを建てられないように設定されています。
こちらも草薙を例に考えると、草薙駅前商店街は容積率300%ですが、草薙神社のある住宅地の方では容積率80%となっています。
容積率は建物の前面道路の幅によって変わる
各市町村で設定した都市計画によって、容積率は決められています。
しかしながら、必ずしもその容積率が適用となる訳ではありません。
実は容積率には、もうひとつの基準があります。
それは敷地が面する前面道路の幅による基準で、下記の計算式で表されます。
前面道路の幅 × 0.4 × 100% = 容積率
0.4は住居系の地域の定数です。非住居系(商業地域や工業地域など)の場合は0.6が定数です。
この計算式の容積率と、市町村で定められた計算式の小さい方が採用されます!
例) 住居系地域 市町村の定めた容積率200% 前面道路の幅4mの場合
4m × 0.4 × 100% =160% < 200%
したがって、容積率は160%が採用となります。
実際に計算してみよう!
「その敷地に建築できる建物の大きさを制限している。」
これが、建ぺい率と容積率の仕事です。
実際の土地で計算をしてみましょう!
目の前にあった土地資料の物件概要を参考に計算を行ってみます。
土地概要
◎土地面積 110.18㎡(33.32坪)
◎建ぺい率 60% / 容積率 200%
◎前面道路 約5.8m
◎準工業地域
【建ぺい率】
110.18㎡ × 60% = 66.10㎡(19.99坪)
⇒ 19.99坪までは建物が影を落として良い!
【容積率】
5.8 × 0. 6 × 100% = 348% > 200% ⇒ 容積率200%を採用
110.18㎡ × 200% = 220.36㎡ (66.64坪)
⇒ 延床面積66.64坪までの建物なら建築可能
となります。
希望の建物は建てられますか?
「一般的な大きさの4LDKを建てて、車を2台・自転車を2台置いて、物置を置けるスペースが欲しいから40坪の土地を探そう!」
実は、この探し方は間違いです!
ここまでお読みいただいた方はお分かりですよね。
重要なのは土地の面積ではなく、何㎡(何坪)の建物が建てられるのか。
ひいては、希望の大きさの建物が建てられるのか。
ということが重要になってきます。
土地探しでは、単純な土地の面積だけを見て食いつくと、痛い目にあります。
しっかりと建築までの見通しを持った土地探しをしましょう!
さいごに
民法や建築基準法、法令や条例など不動産に対して規制をかけている法律はたくさんあります。
土地の場合は、自分たちだけで現地を見に行って物件を選ぶことができてしまいます。
しかしながら、それぞれに定められているルールや規制を知らないと建築の方でつまづいてしまいます。
自分たちで探すという事は、それを承知しないといけません。
今回の建ぺい率・容積率以外にも、高さ制限やがけ条例、風致法、埋蔵文化財保護法など知らないと恐いルールや法令はたくさんあります。
土地の大きさや雰囲気などに目が行きがちですが、物件の概要は見落としてはいけないことがたくさん書かれています。
そこに出てくる単語は必ず調べて、理解した上で前に進めるようにしましょう。
もしくは、最初から不動産会社や建築会社に頼ってしまうのもひとつの手です。
土地を購入したは良いけど、希望の建物が建てられなかったなんて最悪の事態には絶対にならないようにしてくださいね!