住宅ローンの豆知識
住宅ローン借入には事前審査と本審査の2回の審査が必要
事前審査と本審査
銀行で住宅ローンを借りるには銀行の審査を2回行う必要があります。
1回目は売買契約の前に行う「事前審査」、2回目は売買契約締結後に行う「本審査」です。
「事前審査」でおおよその審査は完了しますが、実際に住宅ローンを借りるために必要なのは「本審査」です。
どうして2回行うのか、それぞれどのような審査なのでしょうか。
静岡市の不動産会社ライフアーキ代表の内藤が細かくお伝えいたします。
そもそもなぜ2回行うのか
住宅ローンを借りるためには、本来「本審査」だけでOKです。
しかしながら、本審査には契約書や重要事項証明書が必要なため、売買契約締結後でなければ本審査は行うことができません。
とはいえ、売買契約書上では住宅ローン特約が条項に追加されるのが一般的ですので、もし本審査で非承認になっても白紙解約できるように設定されています。安心ですね!
※住宅ローン特約とは契約後にローンが非承認となった場合は、白紙解約できるという内容の特約です。
万が一、本審査が非承認となっても、それまでの時間と印紙代を失うくらいです。
・・・・・と、ここまでは買主様の目線です。
買主様としては、住宅ローン特約がつくなら「本審査」だけでも良いのかもしれません。
ただ一方で、売主様はそうはいきません!
契約日の調整を行い契約では2時間も時間を頂き、印紙代も失います。
そして何より、契約~ローン特約で解約となるまでは、市場から物件が姿を消します。
その間に他の購入希望者が表れたかもしれませんし、そもそも諸事情により売却完了の期日があるのかもしれません。
売主様からすると住宅ローン特約での解約は大きな機会損失、時間損失になってしまいます。
そこで、登場するのが「事前審査」です。
事前審査を行うことで、住宅ローン特約による解約をグッと抑えることができます。
このような理由から、住宅ローンの審査は2回行います。
売買契約の前に行う「事前審査」
事前審査の申込書
事前審査は契約の前に行います。この事前審査に通過しないと売買契約をすることができません。
ほとんどの銀行で事前審査は無料で受ける事ができます。
住宅購入をご検討の方は、まず資金計画および銀行の事前審査を受けるのが良いと思います。
事前審査では、借入金額・健康状態・年齢・年収・勤め先・勤続年数・家族構成・物件の担保評価などから審査を行います。
本人確認書類・健康保険証・源泉徴収票(自営業の方は確定申告書3期分)・認印・物件資料があれば審査してもらえます。
書類提出から3日~4日ほどあれば結果が出ますので、わりと気軽に審査を受けられます。
また、銀行によって承認・非承認の回答、融資金額の回答、適用金利が異なりますので、複数社提出することが一般的です。
出来れば、住宅ローンの知識がある不動産会社を通じて提出するのが良いと思います。
理由としては、物件の資料準備・銀行への提出等の手間が省ける事。
そして何より、個人個人に適した銀行選択・書類の出し方を知っているためです。
先ほど挙げた審査項目例は銀行によって、利用項目も比重も異なります。そのため同じお客様でもA銀行は承認だけどB銀行は非承認ということが起こります。
また、銀行の後ろでローンを担保する保証会社も、銀行ごと異なります。
保証会社がNGを出せば、窓口がC銀行だろうがD銀行だろうがE銀行だろうが、審査は非承認です。
銀行だけでなく、背後に控える保証会社のことも考えて銀行を選択する必要があります。
売買契約締結後に行う「本審査」
売買契約が完了したら、本審査を行います。
基本的には事前審査を行った銀行の中から、金利や支店の場所、利用条件などを考慮して選択します。
本審査には1週間前後かかります。
先ほど出てきた住宅ローン特約には、【〇月〇日までに本審査の承認を得てください。期日以降は住宅ローン特約の利用ができません。】というように期日が設定されます。
必ず、その期日に間に合うように本審査の提出、承認を得るようにしてください。
本審査を終えると銀行との金銭消費貸借契約(お金の貸し借りの契約)となります。
金銭消費貸借契約では借入金額を増額することはできません。
もし事前審査の時よりも借入を増やし、自己資金を取っておきたい場合は、必ず本審査の段階で相談してください。
事前審査と本審査で結果が変わる可能性は
事前審査に通過している方が本審査でNGとなることは、数としては少ないですが、可能性はあります。
過去、私の同僚の事例で契約後に家に合わせて自動車を買い替え自動車ローンを組んだため、本審査がNGだったことがあります。
このように事前審査以降に新規の借入をした場合や、事前審査のときの申告内容に誤りがあった、税金や公共料金、携帯代金を払い忘れた・引落しができなかった、なんて場合も本審査での結果に影響しますので、細心の注意を払ってください。
リボ払いやクレジットカードのキャッシングも新規借入に該当しますのでご用心。
今回のコロナのような状況で、銀行が融資基準を厳しくする。なんてこともわずかながら考えられますが、この場合はどうしようもないので、他の金融機関にあたるなど出来る限りもがいて、無理なら諦めて住宅ローン特約を利用させていただくしかありません。
基本的には事前審査の承認を受けたときと、何も変わっていなければ問題ありませんので、ご安心ください。
もしも非承認になったら
銀行の審査でNG
この場合に重要なのが、非承認の原因を知る事です。
と言いつつも、最近はほとんど教えてくれないのですが。笑
数年までは教えてくれていたので対策がとれたのですが。。。。。
教えてくれない場合は、他の金融機関をあたりまくるしかありません。
自分で出来る事としては、個人信用情報を取得してみる事です。
【CIC(指定信用情報機関)のサイトより取得できます※ここをクリック】
スマホからでも簡単に開示をすることが出来ます。
この個人信用情報に滞納歴(2ヵ月以上の滞納)があると、金融機関での借入れは不可能です。とりあえずの購入は諦めて、記録がなくなるまで5年待ってください。
《異動》と書かれている場合が、これに該当します。
個人信用情報で問題が無ければ、他の理由での非承認になったということですが、この場合はマイナス要素がいくつか重なっているケースが多いです。
勤続年数が少ない・消費者金融からの借入がある・借入希望額が多い・他の借入がある・自営業で収入が毎年バラバラ・歩合給の多い給料体系などです。
運転免許証の12ケタ数字の右端が4以上の数字だとマイナス要素だ、という銀行もあります。 ※右端は盗難・紛失による再交付回数。紛失が多いとだらしない性格とみなされるだとか。笑
このようなマイナス要素の集合によって非承認となることもあります。
銀行を変えることによって解決できるマイナス要素もありますし、連帯保証人を付けることで解決できることもありますし、他の借入を整理することで解決出来る事もあります。
また、ヘッドハンティングによる転職である、両親が近くに持ち家で住んでいる、自己資金はないが株などで資産はある、などプラス要素を銀行に伝える事も対処法のひとつとして挙げられます。
とはいえ、個人信用情報の問題以外は理由を突き止めるのは難しいため、経験のあるプロと一緒に考える必要があります。
こういった面からも、住宅ローンを知っている不動産会社を通じて事前審査を提出するメリットがあります。
さいごに
住宅購入をされる方の多くは、住宅ローンは避けては通れません。
そんな住宅ローンをしっかりと通過して、希望の物件を購入できるように、審査についての知識を持つことは大きな武器です。
武器がなくとも、不動産会社がしっかり面倒をみてくれるはずなので大丈夫ですが。笑
物件をたくさん調べて、不動産について詳しくなられる方は多いですが、住宅ローンについて詳しい方はあまり多くありません。
とはいえ、人生で一番大きな買い物には、人生で一番大きな借入がついて回ります。
良さそうな物件を見つけてから住宅ローンで困らないように、事前に住宅ローンについても知っておいていただき、さらにスムーズで良い買い物が出来るようになってください!