老朽化したマンションの処分は「みんなで決める」から「各所有者の選択」へ

老朽化した団地

マンションの老朽化問題が待ったなしで迫ってきています。

国土交通省の推計では、築40年超の分譲マンションは2027年に185万戸弱、2037年には352万戸弱もの数に達します。

驚きの数字です。静岡市在住の私からすると、そんなにマンションがたくさんあるのだって感じです。でもたしかに、都市部に行けば大量のマンションで埋め尽くされていますもんね。

これだけの数のマンションが老朽化を迎えていくわけですが、建て替えや取り壊しはなかなか進んでいない現状です。いつか自分のマンションも建替え、取り壊しが迫ってくるかもしれません。その時のために、老朽化したマンションの扱いを知っておきましょう。

老朽化したマンションの行く先を決めなければいけません

マンションの寿命は50年とも、100年とも言われています。鉄筋コンクリート造、鉄骨造、鉄骨鉄筋コンクリート造などの違いはありますが、結局は手入れが重要で、防水や配管のメンテナンス、躯体のメンテナンスを行っているかどうかが、寿命に大きな影響を与えます。

税法上の耐用年数は47年と設定されていますが、これはあくまでも減価償却のための数字であり、実生活では大きな意味は持ちません。(※根拠はあると思います。)

それでも、築40年もすれば、劣化が気になる箇所もあるでしょうし、設備は配管などの老朽化は目立ってきます。そこで考えなければいけないのは、マンションの行く末。

いつまでもいつまでも住み続けるわけにはいきません。どこかで、マンションの建替え、土地の売却などマンション全体としての方針を決めないといけません。

マンション全体の決議から各所有者の選択へ

従来、この建替え決議にはマンション所有者全員の同意がないと出来ませんでした。しかし、平成26年の「マンション建て替え円滑化法」により、耐震性不足のマンションにおいては所有者の5分の4以上の賛成があれば、建て替えが可能になりました。

この背景には所有者全員という壁が、あまりにも高かった点が挙げられます。リフォームをしたばかりのお部屋や、投資目的で所有しているお部屋が一定数存在し、全員から賛同を得るということが困難でした。

「マンション建て替え円滑化法」では、敷地売却制度および容積率の緩和についても謳われております。

敷地売却制度は、マンションおよび土地を不動産会社に売却、売却代金を各所有者に分配する制度です。不動産会社はマンションを建替えし分譲します。所有者は売却代金を元手に不動産会社が建替えたマンションを購入するもよし、全く別の住居に引越しするもよしです。

これまでは①建替え⇒費用負担はあるが再入居②土地売却⇒資金が入るがその場所に住めない、という2択のどちらかをマンション全体で選択しなければいけませんでしたが、この制度を利用することで、どちらの選択にするかを各所有者が選べるようになりました。

加えて、5分の4以上の賛成で決議できるようになったので、マンション内での議論が大幅に進めやすくなりました。

今後は耐震不足のマンション以外に拡充の可能性も

いまのところ、この制度が利用できるのは旧耐震基準時に建設されたマンションなど耐震性不足のマンションに限られています。

ただ、国土交通省の方針として、耐震性に問題が無くても骨組みや外壁、配管などの設備劣化や、マンション管理の不備なども加味していくようです。具体的な基準の提示にはもう少し時間がかかるかもしれませんが、何百万ものマンションが老朽化に直面していきますので、制度の整備も待ったなしになってきそうですね。

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